2007年12月5日にリリースされた一青窈の10枚目のシングル
曲名通り、自分が帰る場所の存在の大切さを認識する曲です
ピアノ伴奏の明瞭な鍵盤音から始まり、合唱コンクールにふさわしそうだと思いきや
曲のコンセプトを伝えるためのサビのメロディとテンポが結構複雑でやはり向かないかなと思いつつも脳内をグルグル巡るような旋律は特徴的です
タイトルは帰宅時の掛け声「ただいま」と今ここにいる自分「ただ、今」の2つの掛詞となっており
ただいまと言える場所がある自分の今の状況を改めて実感する重要性の強調がうかがえます
ドラマ『愛のうた!』の主題歌であり
複雑な家族関係の中親子の絆を育み、真の意味での自分の場所をつくっていく展開に曲がマッチしています
ちなみに同曲のタイトルは鍵括弧をつけるのが正式であり、「ただいま」と表すのが適当です
歌詞自体はメッセージをそのまま伝える手法はあまりとられず
情景を表しそこから当事者の現状や感情をイメージするやや小説的なつくりとなっています
「運命につねられた赤い目のわたし」「別々の電線で2人、して口をつぐみ」のように
思った通りにいかず目を真っ赤にして泣く姿と2人が違う電車に乗っているように思いをひとつにできず、それを是正しようにも開口できずにいる
しかしやはり自分が帰れる場所の存在を欲しており、それは直接的な意味の家であることが表面的ですが
実際は心の拠り所、家族や親しい友人など、人の心の中にその居場所が存在することこそ重要と言えます
つまり一口に「帰る場所」といっても、それは視覚的なものではなくあなた自身が相手の帰るべき場所自身であり、逆もまた然りである
そうやって相手の拠り所となりなってもらうためには、長い年月をかけた信頼や家族愛などがあってこその賜物といえます
それが悲観や叱咤こそあれど、それら全て含めて「愛」といえる行為であるのが理想なのでしょう
そういった複雑な心中を表現するようなメロディが本作品で奏でられているといえます
こういった情緒的なメッセージソングは、自身の経験を乗せて歌うのが最もそれらしく響きます
相手との気持ちの行き違いは不完全な人間であればだれでも体験するもの
それでも改善していきたいと奮闘していた自分のあの頃を感慨深く思い出せば、それがこの曲の持ち味となります
友達、恋人、大きなところでは家族、自分の拠り所を思い出してそれを表現していきたいです
この曲はサビの音程の揺れ幅がとても大きく、心情を乗せつつも音程はできるだけ外さず
必要ならば曲のテンポを自分なりにズラしてもよいので音階にはある程度忠実でありたいです
またテンポを遅めにズラすとその曲自体に重みが加えられるので
コンセプト的にもさらに味のある曲調となりむしろ一石二鳥といえます
帰るべき場所の存在を改めて考えさせるこの曲
そんなドラマチックさは自分に自信をもつことにも一役買ってくれそうです