2008年6月4日にリリースされたトータス松本の1枚目のシングル曲
哀愁が存分ににじみ出てくる切ない曲調の歌です
トータス松本がウルフルズの枠からはみ出した楽曲づくりに励んだ結果
ウルフルズのような前向きさを全面的に押し出したようなものではなく、むしろかなり後ろ向きであったりそういった日常が浮かび上がるような歌詞が自然と描かれたとされています
ウルフルズのメンバーであると共に一歌い手であるという視点から見た場合、こういった傾向の曲をつくりあげることがまた別の自分らしさの確立につながるし、幅もきいてくるというもの
とはいえどちらかの優劣を結論付けるなどと論外な議論をするわけではなく
ウルフルズはウルフルズ、これはこれという枠の拡がりを実現した結果
しんみりとした情景を描く悩みつくせぬ思いを表現することとなったわけです
確かに歌詞は「この世のものすべてが…悲しく見えてくる」「ほったらかしの机の上」「笑えないテレビ」など悲観的な部分が多く
そういった悩みにもがくも希望を見出していく様をナチュラルに描いたものとなっています
PVは終始白黒の映像の中で、トータスとチンパンジーが共演してだっこをしたり共に歩いたりなどの多少ほのぼの感を表しています
シリアスな描写の歌詞とは違ったその動物との微笑ましい戯れが逆に何かしらの哀愁を感じさせますし
トータスが持つ普遍的な悩みを一蹴するかのような彼に対する出来事、もしくはチンパンジー自身が希望の源の象徴となっているのか
動物好きな彼にとってはいずれにせよ心の拠り所=希望なのかもしれません
ドラマ『ホカベン』の主題歌であり
人の不変的な悩みがドラマと彼の抱く心情と共通したため楽曲作りも自然に行えたとの事
あれだけAメロ・Bメロでやるせなさややる気のなさを見せても、サビでは本当の気持ちを叫び伝えるかのような歌い方が特徴的です
届けるべき「涙」とは、怠惰であってもやはり希望を見出したい、誰かに助けてもらいたい、そんな苦しみと切望の思いに類似したものであり
届けるのは自身であるというより自然に起こる何かしらの力であると考えた方がよいかと
届ける先も、届ける人もわからない、でもなんとか届いてほしい、気づいてほしい
そんな思いが短いサビで伝わってくるようです
ズバリ2つのポイント、Aメロ・Bメロのやるせなさと哀愁
そしてサビの切望する思い、抑えきれず出てしまった願いをそれぞれ表すことが肝心でしょう
Aメロ・Bメロにおいては、この世にあるものが面白くもなんともなく、そこから目を背けたくなるような心情を出すため
実際に目をつむってみるのもいいです
Aメロのスタッカートはボソッというような一種の諦めの感じを出すのに適しており
ブレスを出して哀愁を出すのもいいのですが、真の気持ちはやはり届いてほしい、となると
少し天邪鬼のような、届いてほしい気持ちを隠し、別にこんな世に届いてほしいことはないというような空元気さも表したいです
Bメロから自堕落さをにおわすようなバックサウンドをはじめとし、その情景を表すワードが連続して登場します
単純に目の前にこういった景色があり、それを続々述べることで自分の現状を伝えるようです
しかし本当は届いてほしい、そんな思いをサビで出すには、多少の力強さとそれが空振りするようなひとりよがりさ、現実と向き合いリアルに伝えたいという静かだが重みのある思いを表現したいところ
サビの序盤では叫びを少しいれ、後でしっかり音程をとって伝えるような歌い方をするとグッド
とにかく各フレーズごとに何を表しているか、それなりの分析が歌唱に必要になってくるでしょう
人が抱える悩みの解決策を簡単に出したくはないが出したい、助けを求めたいという葛藤が描かれた曲
せつなくしんみりとする場合に聴いてみてはいかがでしょうか
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