元気になれる度:★★★
ミステリアス度:★★
2009年4月15日にリリースされたBase Ball Bearの9枚目のシングル曲
ホ長調から繰り出されるキャッチーなメロディに、誰もがグッときそうなコードが織り込まれています
神様と対比すると普通な僕達人間でも、素晴らしいと自分で思える人生になればいいという
いいものと比べて劣りそうでもそれは自分たち次第であるというニュアンスがこの曲から醸し出されています
またキャッチーなメロディとはいえコードが各所で変動的であり、そこがこの曲を聴き飽きせない魅力のひとつであるといえます
特にBメロ~サビにそれが織り込まれており、よくありそうなメロディでも何故か繰り返し聴いてしまいます
松竹映画「鴨川ホルモー」の主題歌であり
鬼や式神を使って争うホルモーという競技をメインとして繰り広げられる作品にマッチした内容といえます
ちなみにタイトルを「Looks」と単数形にしたのは言葉の調子を考えたことと
神々を「神様それぞれ」(each other)という風に捉えたため
「神様」と主題とし、それに見合った単語を随所に散りばめつつもメッセージ性を残しており
こういった言葉のセレクトは個人的に大好きです
また神及びそういった空想上の者は他国を問わずこの歌詞に登場しており
魑魅魍魎…山河に属する怪
暗黒時代…トロイア戦争後のギリシアの停滞期
唯我独尊…釈迦が誕生した際に発したとされる言葉
三千世界…世界が1000の3乗、つまり10億の世界が集まってできた空間であるという仏教用語
他にも十字架、エイメン、蜘蛛の糸など神や空想の話を連想させるワードが多く
こういった言葉選びはその曲の世界観を表し、聴く人の一種の探求心を煽ります
ただ言葉選びによる世界観の創出もいきすぎるとそこから現実味あるメッセージソングに戻しづらくなるため
世界観を広げっぱなしでそこで何かを感じ取ってもらうか
はたまた一度世界観を抑え込み伝えたいことを舞台上に持っていくか、その手法が問われます
ここではサビに乗じて「神様になったらどうする?」と本人及びリスナーへの問いかけがあり
他メロで空想に浸らせていざ自分の状況や場合を考えると今はどういった人生か、果たしてあるべき人生観とは?
そういったことを短いサビでで集約させています
サビ以外にそういったメッセージがないわけではないですが、世界を広げていざ自分の場合はどうなのか?といった本題は
サビに行われているのが顕著だといえなくもありません
本人としては決して神に及ばなくとも、自分が素晴らしいと思えるならなんでもいい
まさに「様々」な人生があるということをメッセージに乗せているといえます
絶妙な世界観を纏う歌詞が用意されている中でどういった歌い方がふさわしいのか
それも「様々」であると言ってしまえばこんな場を設ける必要もありませんが
少し絶大さを感じさせながらもやはり自分の人生は自分と関係ないわけではない
だからそこに目をやりつつも自由性を感じさせるある程度客観性のある歌い方がふさわしいかと
それを出すには、歌い方に余裕があり、歌詞もある程度しっかり発音することを推奨します
余裕が見えるようにするには、ある程度リズムより遅れた歌い方、ミディアムテンポですがゆったりとした歌い方をした方が
歌うというよりは語る、といった雰囲気になって相手への問いかけをしているような感じになります
歌詞を伸ばすところが多いため、そういったところも有効活用してこの曲らしさを出すのも秘訣です
「神様になったらどうする?」
そんな幻想に浸りつつも、この曲の世界観を味わっていたいです