タグ別アーカイブ: 世界観に浸りたい時

BUMP OF CHICKEN 『ゼロ』 魂震えるファンタジー色強い曲

bump of chicken ゼロ

2011年10月19日にリリースされたBUMP OF CHICKENの21枚目のシングル
ファンタジー色強くも魂震える壮大な曲です

ゲーム『ファイナルファンタジー零式』主題歌としてのオファーからつくられたこの曲
曲自体はゲームのシナリオを読んでではなくキャラクターが武器を介する絵からイメージして完成されたものです

それ故にインスピレーョンが先行してタイアップながらも独自の路線で作詞作曲が手掛けられ
あまりの出来のよさに劇中では曲に合わせてゲームシーンを作り直した程

短調と長調の二つが各パートに世界観を出す曲展開は達観です

PVでは影絵に近いアニメーション、バレエ団の舞踏、メンバーの演奏の3パターンが入り混じる形式となっています

タイトル「ゼロ」はFFの当初の仮タイトルから付けられたものです


イントロの雰囲気、サビの壮大さは魂を描く物語

歌詞では2人称がつかわれ二人の物語を表すように見えますが
実際は自分の心と体を2分化してお互い支え合う存在として歌詞が展開されていきます

自分という一人の存在の中でも、持ちつ持たれつの関係性ある支え合いがあり
時に乖離してしまいそうでもそれを持ち直し、自分という一人を完成させていくというテーマ性があります

イントロはかなりクオリティが高く、前述したファンタジーな短調よりの曲調がゲームの物語性をイメージさせてくれます
何か闇に満ちたひとつのストーリーが始まるかのような世界観は、一発で人々を魅了します

サビはVo.藤原の独特な声が全面的に押し出され、普段よりも十二分に力量を出しているようにも聞こえます
シャウトに近い声はよくサビの高音で用いられますが、今回もサビの出だしから存分に発揮され
まさに心の叫びのように捉える事ができます


歌うなら?

実際に歌詞を読みこむと心と体の対面、支え合う関係という捉え方はいささか難しいかもしれません
「魂」というものが日常でそこまで考える機会が多いかというと、普段では心の奥底まで問いかけをするきっかけもないでしょうし

なにせ物語に近いこの曲、少し現実から離れて曲の世界観を自分なりにとらえて歌に込めていくのがよいかもしれません

強弱はサビまでの短調、サビでの長調でそれぞれ弱と強を表しメリハリあるものにするのが適当でしょうし
さらに2回目以降でドラムが入る点から曲としてのまた新たな展開を思わせますし
それ以降さらにサビでは力を入れて歌うのがよいでしょう

サビは高音はシャウトに近い思い入れでよいでしょうし、そこに少し入る裏声もサビに優しさを与えてくれます
個人的には強さのなかの優しさという感じで、あまり裏声らしさを出すのは控えたく
裏声があっても力強さは途絶えず残していけるようなミドルボイスっぽさも推奨したいです

魂の応答、それをテーマとしたファンタジー色強いこの曲
独自の世界観に感動を分けてもらえそうです
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嵐 『MONSTER』 秀逸な世界観と展開力が売りのダークファンタジー曲

monster 嵐

2010年5月19日にリリースされた嵐の30枚目のシングル
ダークファンタジー色強いブラックポップな曲です

タイトル通りモンスターが真夜中にひそかに出現するようであり、その後様々な変調を繰り返し独特の世界観が聴く人を虜にします
ここまで積極的に展開を繰り返す曲も昨今では珍しく、その中にも各所ストーリー性がありかなり楽しめます

モンスターの登場によるおどろおどろしさが続くのかと思いきや、何か彼らの切ない一面も見え
しかし現代のJ-POPのようなサビもしっかり押し出しつつ間奏ではダンスを踊るかのような
とにかくその目まぐるしさはホントに飽きさせないつくりとなっており大変秀逸です

ドラマ『怪物くん』及び『映画 怪物くん』の主題歌にもなっており
主演演じる大野をメインとしたPVも時計を背景としており、怪しさが窺えます

一場面ではメンバー全員が違うダンスをする「モンスターダンス」なるものが見受けられます


前奏及び圧倒的展開力が魅力

序盤はこのまま怖い雰囲気の曲が続くのかと思いきや、深夜の静けさあるいはモンスターの違った側面を見せられるようなしっとりした演奏への展開への切り替わり

その後ゆったりした怖さにアダムスファミリーを思い出すような曲調が含まれるのも意識してのことか
BメロではここにきてよくありそうなJ-POPの曲調が見え、サビでもそれをかもしつつ特徴的なメロディが心に響きます

間奏も思い切って雰囲気を変え、まるで不気味なシンデレラのようなダンス会場における踊りを見せられるような曲調であり
時刻を知らせるようなバックサウンドから一転してまた怖さメインの曲調へと戻ります

この展開力が同曲の大きな魅力であり、思い切った展開が功を奏して聴き続けることができます

個人的にはバイオリンの前奏も魅力であり
焦りを感じさせる出だしと二度目の前奏のメロディが好みといえ
何かこの後の展開を期待してしまいます


歌うなら?

曲調の展開力が既にこの曲の凄みを出している時点で歌い手はかなり優位な地点で歌うことができます
各所の曲調に合わせて歌えばそれだけで雰囲気にメリハリが出るため、そこを意識すればよいかと

Aメロ前半は隠遁な感じを、後半はブラックコメディっぽく、Bメロからサビは正統派路線で歌うのが適当かと思います

多少気をつけるとすればサビの「僕の気持ちが」の「が」の部分がサビの短調な部分をかなり表しているので
ここに関しては音程を外したくないですね

ダークファンタジーで世界観丸出しのこの曲
変わった、しかし聴ける曲をお探しなら是非ともオススメです


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ポルノグラフィティ 『シスター』 リスタートを祈る切ないソング

シスター

2004年9月8日にリリースされたポルノグラフィティの15枚目のシングル曲
どこか西洋の雰囲気を思わせる切ないソングです

ベースのTama離脱後、2人体制となりリスタートをきる際の曲となり、またポルノグラフィティ15周年という区切りにもなった点でなにかと節目になったといえます

「シスター」とはキリスト教における修道女のことであり、禁欲的な信仰生活を送り、清貧・貞潔・服従の3つの誓願の下厳粛な存在として存在します

そういった観点から新たな船出を祈るような曲として捉えることができ、シスターという厳粛な立場からリスタートの決意は相当なものだと思われます


オススメは雰囲気

ドラムロールから始まる出だしから、アコースティックギターをメインとしたその世界観が一貫しており
またメロディも繰り返し使われる部分が多いためなんとなく覚えやすいのではないでしょうか

また教会の金の音の様な響きも流れ新たな門出を祈るような音はまさに始まりの合図を表す様
少し不安定な気持ちとそれを払拭するような明るさを持ち合わせたその雰囲気が好印象です

つまりさっぱりとした始まりを表すものではなく、やはり新たな旅立ちにおける不安や心配はつきもの
それらを少し強めに表現したこの曲は、今までの日常への未練なども少し感じさせるものがあるかもしれません

新しい出発はあるけど、今までの生活も捨てられない、そんなふと後ろを振り返りたくなるような気持ちがよぎりますが、いつまでもそうしているわけにはいかない

とはいえ新たな世界を肯定的に考える程割り切った曲でない点は多少の複雑性を覚えます


歌うなら?

ポルノグラフィティのそういった背景があって故のこの曲、そこを踏まえると更に曲に深みが増します
曲調に合わせて暗いところは暗く、少し明るい場面ではそれ相応の歌い方をするのがいいかもしれませんが
やはり全体的に暗めを強調した方が、この曲には相応しいと思われます

なので語りかけるように、あるいはつぶやくように、今までの自分の日常を走馬灯のように思い出しながら
感慨にふけるように歌うとらしさが伝わります

誰だって今までの生活で戻りたい部分は存在するでしょうし、それを抱えつつ前を向かなければならない
その戒めを理解していれば、雰囲気を味わいつつ歌うことが叶います

シスターという第三者の存在のようであって、実は祈るのは自分自身かもしれない
そんな自分でなくて自分であるような曖昧性も持ちますが、それは表現がいささか難しいかと

ポルノグラフィティの中では比較的高音を使わないため、そういった表現を徹底して行う余裕はあるかもしれません

せつなくなるも、前を向かなければならない、そんなことを臭わせるこの曲
異色の世界観を味わう際にオススメの曲といえます

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L’Arc~en~ciel 『叙情詩』 壮大な世界観の心情を描くバラード曲

抒情詩

2005年5月18日にリリースされたL’Arc〜en〜Cielの27枚目のシングル曲
切なさと壮大なスケールの世界観をもつバラードです

叙情的とは感情を表し述べることであり、特に音楽においては「もの哀しさ」を表すのにも用いられ
叙事のような事実や事柄などをありのままに述べることとは対義的に使用されます

その意味の通りこの曲はVo.hydeの持つ心の世界観を惜しげなく表したような曲であり
そのスケールや心情が曲調から聴きとれます

以前にリリースされた『瞳の住人』に次ぐスローテンポな曲であり
あちらと比べると音程の幅は小さく派手さには欠けますが

短調なサビのメロディとpvを合わせたスケール感は他曲とは一線を画していると思えます

オススメはPV

この曲で大変高い評価を受けるのがPVです

ルネサンス期及びロココ期の、当時の西洋美術が多数用いられ
この曲の世界観を一層広げるものとしています

代表的な作品として最初のサビではヴェチルーベンスの「三美神」やブロンズィーノ『愛の寓意』
2回目のサビはトマ・クチュールの『退廃したローマ』などが用いられている模様

更にhydeの心情を写真の中に入り三次元的に味わう手法がとりいれられ
二次元の芸術を文字通り多角的に見ることができるのも効果的かつ幻想的であり
PV自体が一種の芸術として完成しているようです

この作品自体は平成17年度の文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門審査委員会推薦作品に選ばれています

歌うなら?

本人の感情は本人しか表すことができないように
hydeの感情を表したこの曲はhyde自身しか表現できないのでは?とも思えます

ラルクは独特な溜めとファルセット、チェストボイスを用いるため
それが早い曲ならまだしもこの曲のようにゆったりと聴かせるということになると至難

この高尚な曲をどう表すかというと、これはもう自分の叙情的な部分を出して歌うほかありません
シンガー各々の感情に身をゆだね、それが吉と出るか凶と出るかはリスナーの感想を聞くまでわかりません

サビはのどを開いた聴きごたえのある歌いかたとファルセットを用い、自分なりの世界観で試してみましょう
これだけ壮大なPVとはいえ、一人の人間の心情であるなら、それを広げるには必要なのは経験と想像力です

人の心情とはいえ、壮大なスケールを描いたスローバラード
聴いていないひとは是非PVと合わせて聴いてみてください

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スピッツ 『遥か』 人の心を揺さぶる幻想的な曲

遥か

2001年5月16日にリリースされた、スピッツの23枚目のシングル曲
幻想的な演奏が人の感覚に歌えるようなミディアムバラードです

この曲が持つ特長的なイメージは人の心を惹き寄せるなんらかの力があるようであり
特にスピッツの曲の中では好きという人が多いです

自分が密かに目指している遠い遠い「遥か」
そこに順調に届いている気がしたけど、実は届いていない

いつか到達したい人の心理と、それでも簡単には届かない現実との葛藤を円やかに描いたファンタジー色の強い印象があります

ドラマ「Love Story」の主題歌

オススメはPV

このPVは主人公の女性がスピッツのメンバーと段階を踏むごとに物々交換を行っていく一種のわらしべ長者のような感じであり
最初に与えられたりんごからどんどん交換を重ねていきます

ランプ、鳥とかご、時計、馬という感じに、それぞれが表す意味は定かではありませんが
時計との交換時、女性の方から自主的に交換を差し迫る場面が見える点から、女性が望んでいたものが手に入りつつあることがうかがえます

しかし最後の馬との交換は受動的であり、更に馬はいつの間にかいなくなってしまいます

そして最後にまた現れたりんごと隣の家内にいるスピッツメンバー
騙されたはらいせなのか、りんごを家の窓に向かって投げる女性、そしてまた吸い込まれるようにして消えるりんご

最後の場面は最初にりんごが手に入ったシーンがまた見え、ループしていくようです

自分が求めて手に入ったものは結局届かない遠い「遥か」なものであるというメッセージがあるのでしょうか

特に最初にどこからともなく落ちてきたりんごは、昔から神話などでよく登場する神秘的な果実であり
そういった点もこの曲の幻想的な部分を助長させます

このPVを自身で見てもらい、いろいろな思いに馳せてもらうことをオススメします

歌うなら?

Vo草野の透き通るような、心の内の芯まで届くような声があってこの曲は成り立つようなものですが
それをイメージして、力まず、頭の中心から声が抜けていくような感じがこの曲には適しています

しかしサビはある程度高音であり、力まずにその声を出すのは至難
決して濁った声にならず、ミドルボイスでも裏声でもいいのでこの曲のイメージを壊さないようにしたいものです

幻想的で人の心を震わすようなこの曲
それぞれこの曲が持つメッセージ性を読み取り感慨にふけっていたいです

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