カテゴリー別アーカイブ: 暗い曲・悲しい曲

宇多田ヒカル 『FINAL DISTANCE』 相手との距離感に切なく寂しくなる曲

final distance

2001年7月25日にリリースされた宇多田ヒカルの8枚目のシングル
相手との距離を感じる切なさを描いた曲です

アルバムタイトルでもある『Distance』をアレンジしヒップホップからバラードへと変調を遂げており
結果曲の雰囲気はガラリと変わり、悲しみを誘うものとなっています
ちなみに同曲は次弾アルバムに収録されています

この曲の制作時に附属池田小事件が発生しており
被害者の少女が宇多田のファンであったこともあり、パッケージに追悼メッセージが載せられました

PVは独特の世界観に人々が不思議な格好に扮しており
宇多田自身も白い姿で登場し、それぞれの環境・感情の違いが距離の違いを表しているようにも思えます


相手との距離を感じることは?不安でもがく人間模様

親しい中でも時には意見の相違や違和感を感じることもあるでしょう
そういったときに感じる相手との距離感、それを縮めようとしても更に開いていく、そんな孤独感に陥ることも可能性としてあります

焦る気持ちが結果食い違いを更に広げてしまうため、それを重く受け止めず徐々に狭めていけばいいと思いつつも
やはりその時に開いた距離が無意識に焦燥を感じてしまいかねません

そんな思い通りにいかないもどかしさも相手を理解しようとする一つの計らいであり
親しいと思えるなら一層求めてしまうものです

逆に近すぎるのもまた違和感をもたらします
就かず離れずの関係を維持するための距離をどうもとめるか、それは経験によって導くしかありません


お得意の暗く切ないワールドは、声のトーンを選り取り見取りに扱っていかなければなりません
Aメロは低く重いトーン、サビは高く切ないトーンと幅を利かせてどちらの側面も持った曲であることを意識する必要があります

「I wanna be with you now」がこの曲の特徴づけるフレーズであり、寂しさを一層惹きたてる絶好の場であるため
特に「I」を重視して、ある程度ビブラートを利かせると切なさが引き立ちます

ラストは感嘆節が多いため、自分が描くこの曲の世界観を出すのに適した気持ちの表しをするのが理想です

遠すぎても近すぎても違和感のある相手との距離感
そんな問題が引き起こす感情が切なく表れます

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TK from凛として時雨 『Unravel』 今と未来のジレンマに嘆く姿を

unravel 凛として時雨

2014年7月23日にリリースされたTK from凛として時雨のシングル
独特の暗さと悲しさが聴く人の心を揺さぶります

通常のバンドネームとは違い「TK from」をつけその名義で作られたこの曲
同年5月30日に突如YOU TUBEで公開されるという異質性はすでに垣間見えていたようです

バイオリンが曲に優雅さと更なる緊張性を持たせ
ドラムの激しさと各曲調での特徴にしっかりフィットし色濃い世界を演出してくれます

出だしの歌からギターの演奏は激しく脳内の狂気的な動きや想像を表しているようです

「Unravel」とは「ほどく、解明する」などの意味があり
また自動詞として「ほどける」という意味もあることから、その両方の使い方が可能性として存在します

アニメ『東京喰種』主題歌


ほどける世界はどちらを望む?矛盾する気持ちが更に深みを見せる

歌詞は否定と肯定の連鎖により、どちらともとれる複雑な心境と状態を表している様
今と未来の状況どちらにもメリットとデメリットをもち、そのジレンマに陥っているようにも捉えられます

変化を恐れ、満足いっているわけではない今に妥協するか
成長につながる可能性はあるが、リスクも生じる未来へと動くべきか
紐解くべきか、結んだままでいるべきか

しかし時間というものは真意に関係なく進んでしまうもの
故に紐解かないよう望んでもそれは避けられない部分というものにもなり得るため

ある程度の受け入れは覚悟しなければならない、それから目をそらしてはいけない
そういった微妙な世界の動きについて行く必要はあるようです


歌うなら?

TKらしい独特で閉塞感をも持つような声があってこその曲であることを考えると難易度は高いのですが
それでも曲調を表すなら今と未来のはざまで揺れる悲しい叫びを表すことがテーマ性としてふさわしいです

出だしは声オンリーであり、この曲の印象や雰囲気づくりとして既に重要な位置であるため
掴みに関しては歌い手次第ともいえます

囁くような声とシャウト気味な声を使い分け、各サウンドで表現されるべきものを考察してストーリー性ある歌にしたいものです

ほどける怖さと勇気の矛盾を受け入れることを重きに置いたメッセージ性をもとに
自分の人生でも新たなことを知る覚悟をその都度もっていたいものです

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DOES 『曇天』 曇り空が表すダークで足軽なアップナンバー

dose 曇天 

2008年6月18日にリリースされたDOESの6枚目のシングル
危険を楽しむグレーな世界観は暗い風景画のようです

「曇天」とは曇り空を指し、そういったダークな雰囲気の中二人の足行や感情を表したものとなっていますが
曲調に対してそれほどネガティブというわけでもなく、明るい部分も見える曲であるのは彼らのコンセプトのひとつです

お得意な和の感じが歌詞にもメロディにも出されており
それをイメージしつつもペースは速い点、ダーク感じが病み付きになります

アニメ『銀魂』主題歌であり
作品の時間軸と非常にマッチしていますが、曲自体はタイアップを意識した描き下ろしではなく、曲を聴いたスタッフが起用を依頼したとのこと


芳しくない天候は和の道を暗く照らす

曇天の下歩いている二人はまるで雨という危険性をはらみつつもその時間を楽しんでいるかのよう
怖いけどそのスリルを味わうことに一種の中毒性が窺えます

つねにアップテンポでペースを落とさない構成はその危険性がいつも隣り合わせにいることを示唆し
それでも実はさして気にも留めていないようなポジティブさは足軽な感じから想像できます

おびえているように見えるのは実は自分の思い過ごしであったり
そういった微妙なニュアンスの心境は暗くも明るいという天秤のようです


歌うなら?

Vo.氏原の独特の歌い方は巧みな言葉選びの歌詞の割にはあまりハッキリとした発音を気にしていない様子
歌詞もさることながらそのメロディの雰囲気に身を任せるような激しさを重視した方が曲のらしさが出るかもしれません

あまり高いキーではないにしろその低い音程でシャウトを交える必要があるのは喉には少々リスキー
それにより音がとんでしまうと本末転倒なので、和な感じの音程はしっかりと捉えつつ叫ぶような感じを両立させていきたいところ

サビの「ので」はもちろん曇天の韻を踏んでいるので、「の」と「で」の間に少しの空白をいれるように発声し
歌詞自体より韻を重視した歌いかをしたいです

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Mr.Children 『掌』 相手を認めることの難しさ、大切さを濃密に表した曲

掌

2003年11月19日にリリースされたMr.Childrenの23枚目のシングル
相手を認め合うことの苦悩を描いた曲です

ミスチル初の両A面であり、くるみが光ならこちらは闇を描いたような、相反する領域を表現しているといえます
むこうが愛することの素晴らしさを謳っているのに対し、こちらは人の醜さや、悲しい部分を描いており
それでも必死にもがく様が逆に人間らしさを描いているともいえます

誰もが経験する日常での食い違いをかなり激しく表しており
サビの歌詞はなかなかのインパクトあるものとなっています


認め合いたいのにすれ違い、傷つけあうのは何故?

サビの歌詞では相手とのすれ違いをなかなか辛辣な言葉で表現されており
テンポも合わさってなかなかの衝撃をもたらします

それでももがくさまは本当は相手を傷つけるとは真逆の意図をもってしているハズなのに
何故かそれとは別の方向の態度を示してしまっている

矜持、優越感、自己愛など
社会における自分の地位の確立、いわば自分を認めてもらうための動きが
いつしか相手を認めたくないという気持ちの増加につながり、それが結果として表れてしまう

でも本当は寂しく、か弱い生き物だから誰かと一緒にいたい、互いを認め合いたい
激しくも悲しい曲だといえます


歌うなら?

Aメロから多少高いキーを維持する必要がありますが
サウンドがまだそれ程激しさを見せないため、多少の叫びを見せてもサビとのメリハリはつけられそうです

問題はサビの歌詞のテンポの速さ
メロディがかなり小刻みにかつスタッカートを交えて構成されており
歌詞も濃密で早口なため、音程をとりつつ歌詞の世界観を表現するのはかなり難易度が高いです

歌詞に集中しすぎると音程がとれず、音程を気にすると歌詞がついてこない
しかも後半はどんどん音程が上がっていくため、その領域でペースを乱さず歌う必要があるのは至難です

最後のサビは転調するため、更にレベルがあがるのは言わずもがな
歌詞は相手を認めたいのに行動が噛み合わない複雑性をしっかり表せ重要性が高いので
しっかり発声していきたいところです

日常における食い違いは誰にでもあるもの
それを乗り越えてでも互いに認め合える日を誰もが求めているのでしょう


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鬼束ちひろ 『infectinon』 自己否定から始まる悲しいバラードソング

infection

2001年9月7日にリリースされた鬼束ちひろの5枚目のシングル
哀しすぎる旋律と力強さに心揺れるバラードです

人の陰の部分を表し、それを認めることが人の進むべき道である
一種の自己否定をインパクトある言葉を織り交ぜて表現しています

この曲の発売4日にアメリカで同時多発テロが勃発
当時曲の歌詞である「爆破して飛び散った心の破片」がまるでこの事件を予見したかのような印象を受けるおそれがあったため
急遽PV作成を11月まで見送る結果となっています

PVはロンドンで撮影されたのこと


サビのメロディにグッとくるものがある

歌詞の否定的な言葉も印象的ですが、特に同曲はサビの繰り返しが多くそこの歌詞も衝撃的であるため心に残ります
サビの旋律は段階的に音程をあげることによる曲の盛り上がりを効果的なものにしており
各所においてメッセージ性が強く、それを繰り返すことは更に人々の脳内にそのインパクトを植え付けることができます

さらにボーカルの力強い歌唱が言葉に更に重みを生んでいるのも事実です

最後のサビでは転調があり、歌詞における言葉の繰り返しが盛り込まれているのはより一層衝撃を与えます

infectionは日本語で「感染」であり、心の弱さが他者から広がってきたものか、はたまた自身がもつその一部が全身に広がることを表すのか
またそれを乗り越えることにより次は強さを感染させていくのか、様々な意味合いがありそうです

ドラマ『氷点2001』の主題歌でもあります


歌うなら?

正直歌というよりは何かしらの演劇を思わせる鬼束ちひろの作品の数々
自身歌詞に共感を得、心の叫びのようなイメージを持って歌わないと表現はなかなか難しいでしょう

曲調としてはAメロ・Bメロは静かに、サビは力強くというシンプルな構成ですが
その表現が極めつけであるためかなりオーバーに演じても足りるかどうか、そこが彼女の作品の真骨頂といえます

スローペースでかつ重要なワードがサビに盛り込まれているため
ひとつひとつ発音を明瞭なものにし、言葉の重みを伝えるかの如く発声したいものです

自己否定から始まる新たな道のりを感じさせるこの曲
鬼束ちひろワールドを味わいたい方にオススメです

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アンダーグラフ 『ツバサ』 人はツバサをどう使う?進むべき道を考える曲

ツバサ アンダーグラフ

2004年9月22日にリリースされたアンダーグラフの1枚目のシングル
短調だか力強さも見える彼らの代表曲です

ギターの3連符のリズムが特徴的であり、それをメインとしシンプルかつ明々とした旋律で曲が流れていきます
タイトル「ツバサ」は、それを人が前に進むための代物にたとえつつも、それで本当に進めるかどうかは自分次第というメッセージをもったもの

当時有線で流れたことを皮切りに知名度が上昇し、華々しいメジャーデビューを飾ったことで知られています

PVは長沢まさみが主演で登場し、雨の中で同曲のキャッチコピーを読んだ後、同バンドと交互に映像が流れるというもの

ジャケットは東京ドームシティ内のラクーアにあるジェットコースター「サンダードルフィン」


シンプルなリズムと独特なギター旋律が印象的

リズム自体はとてもシンプルで型にはまっていますが、ギター音がやはり特徴的
3連符から音を伸ばさずに切り、それを繰り返すバックサウンドがツバサらしい部分といえます

ツバサというともっと空を舞った開放的なイメージですが、この曲はツバサという前に進む手段があってもそれをどう生かすか?
そういった問いかけがあるような雰囲気で明るさは少し抑えられています

サビも旋律は繰り返しで覚えやすく、好まれるメロディであるといえます


歌うなら?」

ミディアムテンポで難しい言い回しもなくメロディも覚えやすいため、比較的歌いやすい部類であるといえます
高音もサビや最後の裏声くらいで、そこが出せれば難なく歌いきれるでしょう

元気でハツラツ、というよりは少しダークな印象であるため力強さはそちら方面を出して歌いたいです

歌詞もある程度ハッキリ発声していいですし、ダークとはいえ元気がないわけではなく、しんみりした雰囲気でもないためそこは加減調節を

歌いやすく聞きやすいメジャーな感じのマイナーソング
そういった曲を聴きたい方にオススメです

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Aqua Timez 『Velonica』 疾走感ある暗い曲は女性へのメッセージを綴る

velonica

2009年1月14日にリリースされたAqua Timezの8枚目のシングル
アップテンポですが内向的な激しさを持ったへヴィーな曲です

ラップあり、暗さあり、激しさありのかなり忙しく目まぐるしく曲調が変わる曲であり
そのどれもが暗く悲しい側面を持ち合わせた傾向により独自の世界観を与えてくれます

シンセのような打ち込み音がバックに流れるため激しくもデジタルな感じが夢と現実の両方を兼ねているように思えますし
歌詞も現実の悩みや問題に対する視点から徐々に空想に耽っていくような現実離れな感じが漂っていきます

表題は女性の名前としてよくあるものからこの名を選びタイトルとして採用したというもの
そうなるとジャケットの女性の横顔から更にこの歌に対する想像が膨らみそうですが
黒っぽい感じなのにジャケットはかなり光を浴びた白なのにもまたギャップを感じます

アニメ『BREACH』主題歌


ラップからメロディへのつながり、そしてサビの叫びが曲調を統一させる不思議

よくラップがあると一度間を置いて次のシーンへと曲を一旦リセットする構成が見られますが
この曲はラップの状態からBメロへ繋げ、その雰囲気を壊さずサビで盛り上がりを見せています

更に通常よりもかなり高速であり、言葉が目まぐるしく飛び交う中であれだけテンポを一度下げても違和感がないのは曲の構成としては一目置くべきところです

ラップで自問のような言葉の乱立を処理しつつ伝えるべきことはまた違う場面で、しかしそれは同時に繋がりをも見せ続けられている
そんな物語性が見受けられます


歌うなら?

前述した通りラップの部分がかなり早くまたリズムもワンパターンではないため
まずはここを覚えなければ次のシーンへと移行することができません

ここの場面のみでいえば音程による違いもあまり見られず、ただただ言葉の通過を見ているだけの疾走感に唖然とするかもしれませんが
聴くのは一瞬でも歌うのは至難、どこでどういったテンポの変動を見せるのか、聴き続けて掴むことが第一歩です

ラップが過ぎればBメロやサビに関しては音程に特に難しさはなく、曲としての暗さを楽しむことができるのが一息つけます
サビに入る事前のメロディは個人的に好みであり曲の雰囲気を高める要だと思いますので、その期待感をしっかり煽ってください

多くの言葉が詰まった暗く新感覚なアップテンポナンバー
ラップとメロディの協調をぜひ味わってみてください
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平井堅 『fake star』 スター目線から孤独感を綴ったダークナンバー

fake star

http://youtu.be/TZ2u-iMf0qE

2007年9月12日にリリースされた平井堅の27枚目のシングル
世の中に蔓延る偽りをスター目線で紐解くようなアップテンポなダークナンバーです

平井堅自身多くのヒット曲をリリースし、今やスターといえる存在ですが
そういったポジションにおいて感じる孤独や偽りの感覚といったもののも従来とは違った形で存在します

スター目線で描かれる歌詞にも、他者と行き着くところは同じようなそういったマイナスな心境をシンクロさせ
位置は違うとも荒んだ感じは類似している、そういったギャップと同一視の両側を捉えた作品だといえます

曲調もかなり挑戦的に変化に富み、危機感をも募らせるような不安が漂うシーンも見受けられます

明治『Fran』CMソングでもあります


fakeは自分自身?ミステリアスな曲調と意味深な歌詞が特徴

前奏から怪しいアコギの旋律と声色が今までにはない雰囲気を持ち
Aメロ後半からBメロにかけては不安を煽るような曲調があり

間奏においてはジャズのような演奏があるなど、かなり変動的であるといえます

歌詞ではスターであろうがなかろうが詰まる所自分が求めているものに対してそれは偽りであり
それが「you」であったり「me」であったりなど、誰しも抱える可能性のある状態であることが窺えます

「wanna be a pop star」という歌詞からも、現状の違和感に気づき抜け出したい思いを持ちますし
平井堅自身がリリースした「POP STAR」から持ってくる点も興味深いです


歌うなら?

裏声を用い、感情を持って歌うもかなり音程が右往左往するのが特徴であり
さらにそれに必死についていく姿はなく、余裕をもった歌い方が必要なのが少々難関

なんたって歌い手は皮肉にもスターであり、偽りにいたたまれない思いがあろうともそれを聴衆に見せてはいけない
プライベートすらきりもりする存在であるが故、そこに全面的な憤りや疲労を見せるのはこの曲らしくないのです

やりきれない思いを匂わせつつも、それを隠している、そういった雰囲気を漂わせながら歌う微妙な感じがふさわしいといえます

これが平井堅の持つ、静かだが臨場感溢れる歌い方にフィットしているため
冷静だが冷静じゃないニッチなニュアンスを意識して歌に臨みたいところです

どういった立場でも抱える問題
スターの立場から味わう体験、考えながら聴いてみてはいかがでしょうか
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Mr.Children 『蒼』 人が抱える自分の弱さを再認識させる曲

sense

2010年12月1日にリリースされたアルバム『SENSE』収録曲
歌詞も曲調も切なく暗いナンバーです

同アルバムでも極めて静かでムダがなく、ピアノとギターのみの演奏となりますが故にそれぞれの存在感は重要
2回目のAメロは口笛で表現され、更に切なさを煽る感じです

メロディもよく何度も聴いているうちにかなりしんみりしてくる曲であり
他曲と比べると地味ですがじっくりくるものがあります


歌詞とメロディから考える「蒼」の意味とは

「蒼」は青よりも青みがかり、一方青はみどりに近い色合いの意味が本来あります
また蒼は色つやがない、あわてふためくさまなども意味し、そういった青よりも感じる深さが感じられます

また古代中国において青が春や若さ表し、いわゆる「青春」という言葉にも使われることから想像はつきますが
年齢的に若くなくてもアイデンティティの確立は難しい、いわば精神的な若さを表し

またそこに深みと重みを乗せるため、意味が近くより重量感のある「蒼」を選んだのでしょうか

そう考えるとこの曲の眼前には蒼一色の景色が思い浮かばれるようです

人生におけるもがき苦しみを各所書き連ねたそのひとつひとつは誰しも共感できそうな経験が混ざっています


歌うなら?

歌いだしからかなりの重みを表していき、臨場感を得るためのつかみに成功しなければなりません
「自分では~」から勝負は始まっているかのごとく、かなり気持ちを込め一語ずつ丁寧に見ていきたいです

心の声のような歌詞が多いため、共感する出来事を思い描きながら感情を込めるとかなりよい結果となるはずです

サビの「ただただ~」は自分の現状に嫌気や倦怠感のようなものがとても表れ、また曲の最高音であるため
叫ぶ気持ちながらもここも丁寧に歌い上げたいです

悲観的ながらも落ち着き丁寧に、それがこの曲の臨場感を出す歌作りになるといえます

かなりのしっとり感を引き出すこの曲
シンプルに静けさを求める場合はオススメです


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矢井田瞳 『37.0℃』 熱りと冷めの二つを持った悲観ソング

矢井田瞳 37.0℃

2006年11月22日にリリースされた矢井田瞳のアルバム『IT’S A NEW DAY』収録曲
暗い雰囲気に自我がとぶような刺さる歌詞を多く含んだ曲です

最初は静けさ、徐々に曲のムードが広がる曲構成であり、切なさがどんどん全面に押し出されるような雰囲気を持ちます
歌詞の内容も後ろ向きで複雑なワードが並べられそれらを表現しています

37.0℃はいわゆる微熱、高熱とはいかずとも身体の異常を発する数値であり
これは自分だけでなく自らを取り巻く社会に対しても少し異常な熱りの存在を示唆した多少風刺のきいたものとなっています

2006年6月21日にリリースされた『DEATH NOTE TRIBUTE』にも収録されています


熱があるもどこか冷たさを感じる悲観的ムードが展開

微熱はいわゆる人体の異常を表し、それを全体の問題にシフトしていくことで隠れながらにスケールの大きさを感じ取れますが
内容の箇所に多少の冷たさも感じるところはまた事実です

よくいう孤独や虚無感といった表現は心の冷たさや寒さなどのように置き換えられる点を考えると
熱りと冷めの相反するものを抱えた点でも意味深いものがありますし、歌詞にも「白い」や「氷点下」のようなワードが飛び交います

この二つの側面を同時に持つときも日常においてはありますし
盛り上がっているのだけれども何か心にポッカリ穴の開いた感情、のような表現もよく見られます

熱さと冷たさ、それぞれをある種誤魔化す手段が双方であるとしても、それが行きすぎることによる問題も避けたいものです


歌うなら?

主点としては熱りに不信感を得るも社会の冷たさにもやはり物憂い感じがする
そういったやきもき感、やりきれない感じがこの歌では表現すべきポイントでしょう

曲調に合わせて徐々にムードを出していく感じを意識していきたいです

サビにおいて音程が右往左往し、少し沖縄感も出ていますが、あくまでやりきれない感情を出していきたいので
少し力を抜いて怠惰的な思いをのせると適した歌唱になるかもしれません

自分と社会における問題、熱りと冷めを表したこの曲
共感する場合もありそうですし、是非聴いてみては
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