カテゴリー別アーカイブ: 幻想的な曲・ミステリアスな曲

加藤ミリヤ 『楽園』 ホラーかつミステリアスさ漂うスリリングな曲

加藤ミリヤ 楽園

2012年8月8日にリリースされた加藤ミリヤの22枚目のシングル『HEART BEAT』のカップリング曲
謎多き怪しい世界に惹きこまれるような展開の多い曲です

A面のような明るさとは裏腹に、こちらは同じくテクノ音を使いながらもダークな感じに仕上がっており
「楽園」と呼ばれつつも何が起こるか予測できない危険性を表した世界観が出ていることが聴いてとれます

映画『Another』の主題歌であり、同作品のホラーでミステリアスな雰囲気にマッチした曲といえ
主人公たちが抱く思春期の迷いや孤独感、焦燥感をこの曲がどこかへ導くというコンセプトの基つくられました

この曲自体はあまり型にはまった展開ではなく、AメロBメロも同曲に一回、サビのあとCメロ(Dメロ?)そしてサビという斬新な構造であり

各フレーズでそれぞれ違う雰囲気を臭わせつつも、ミステリアスな感じはどこにも残しています
テクノ音の中にも時々擦弦楽器の二胡のような趣あるサウンドも織り交ぜており
楽園と思われるモノの正体の見えざる部分を表しているように捉えられます


オススメはイントロ

この曲の特長として約55秒にわたる決して短くないといえるイントロが同映画の世界観をとても出していると言えます
ジャンルはホラー、しかし単なるホラーではなくミステリアスさ漂いヒロインの心情描写も少ない

そんな不思議につつまれつつダークな感じが映画の終わりと共に流れるエンディング、つまりこの曲の出だしによりまだ続いていくような、そんな印象です

少し恐怖心をあおるような加藤ミリヤの歌声とシンセサイザー、テクノ音による1分弱のイントロが個人的にはとても印象的であり
まだ映画は終わっていない、と言わんばかりのサウンドが流れます


歌うなら?

ミステリアスさ漂う怪しげな感じを歌で出すならば、恐怖心と安心感を各所でコントロールできるような歌い方が望ましいです

重く響くチェストボイスで恐怖を誘う歌い方、ブレスをきかせた囁くような少し安心させる歌い方
これを使い分けることで、安心と恐怖のギャップがさらに曲の臨場感を出すことにつながります

特にイントロから入るブレスをきかせつつ恐怖心をあおるようなファルセットが肝心であり
エンディングのように映画の臨場感を視聴者が持っている状態で聴かせることはカラオケなどでは不可能なので

その分サウンドと歌い方ですぐさまこの曲の世界観を出し、リスナーを惹きこむ必要があります

多少惹きこむことができればAメロBメロでダークな感じをだし、その後サビでは多少の疾走感で曲の展開を早め
一度安心感を与えるような間奏とCメロに至り、その後Dメロとサビでまたスピード感をだし終局へ向かう感じです

曲の雰囲気を意識し、流れるような展開で歌いたいところです

孤独や焦燥感から答えへと誘わせるような曲
映画と合わせて聴きたいです

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宇多田ヒカル 『COLORS』 色と心境をマイナーで表した幻想的な曲

color

2003年1月29日にリリースされた宇多田ヒカルの12枚目のシングル
個人の心境の変化を色に見立てて描いた幻想的な曲です

歌詞中にも多くの色がとりいれられ、まさに彩りあるものに満ちた世界観を描いています

とはいえ無色の存在も端から否定しているわけではなく、そういった悲観的な場面も幾度登場することは人生において避けようがないため
その経験も踏まえつつ自ら色を塗っていくメッセージ性を歌詞に載せています

「トヨタ ウィッシュ」のCMソングに起用されており
PVでは特に黒と赤が強調された衣装を身に纏う姿が多く映し出されています


色をテーマに様々な視点が彩られていく歌詞が秀逸

白黒が多少マイナスなイメージを持ち、それ以外の有色の存在によって多角的視点から日常の彩りを表現しています
青やオレンジなどは比較的その場の風景の代表としてとりあげられており
赤は心境を表すポジションとして描かれています

特に赤は情熱さと逆に嫉妬や多少の憤りのような、真逆の印象を曲中に受け
どちらにもなり得る二面性を持つように思われます

ハッキリとした色ですが、それがどちらを指しし示すのかが人生においても非常に悩まされるところです

歌うなら?

テンポはミディアムですが比較的暗めの印象があり
そのマイナーさをイメージさせるワードも多く登場し、そこに色で表されるものとはまた違った深みを覚えます

「あきらめ」や「死者」のような色とこういった否定的なワードの組み合わせは、その色自体のイメージの方向性に結びつけてしまうため
この曲における色の役割をそれぞれ把握しておく必要があります

上記のように赤自体が100%情熱さを表すわけではなく、各所また違った印象をもたせる点を踏まえても
その前後の言葉から色がどういった役割をもっているのか、イメージしながら歌うのが適した歌唱法といえます

とはいえその役割もまた曖昧性を孕むため、決してこれのみを表しているともいいがたく
決して他の面はないという一点視野の考えに終着するのも控えた方がいいでしょう

色といいつつカラフルさよりは白黒と赤の強いこの曲
歌詞の深みと雰囲気を味わいながら聴きたいですね
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L’Arc~en~ciel 『叙情詩』 壮大な世界観の心情を描くバラード曲

抒情詩

2005年5月18日にリリースされたL’Arc〜en〜Cielの27枚目のシングル曲
切なさと壮大なスケールの世界観をもつバラードです

叙情的とは感情を表し述べることであり、特に音楽においては「もの哀しさ」を表すのにも用いられ
叙事のような事実や事柄などをありのままに述べることとは対義的に使用されます

その意味の通りこの曲はVo.hydeの持つ心の世界観を惜しげなく表したような曲であり
そのスケールや心情が曲調から聴きとれます

以前にリリースされた『瞳の住人』に次ぐスローテンポな曲であり
あちらと比べると音程の幅は小さく派手さには欠けますが

短調なサビのメロディとpvを合わせたスケール感は他曲とは一線を画していると思えます

オススメはPV

この曲で大変高い評価を受けるのがPVです

ルネサンス期及びロココ期の、当時の西洋美術が多数用いられ
この曲の世界観を一層広げるものとしています

代表的な作品として最初のサビではヴェチルーベンスの「三美神」やブロンズィーノ『愛の寓意』
2回目のサビはトマ・クチュールの『退廃したローマ』などが用いられている模様

更にhydeの心情を写真の中に入り三次元的に味わう手法がとりいれられ
二次元の芸術を文字通り多角的に見ることができるのも効果的かつ幻想的であり
PV自体が一種の芸術として完成しているようです

この作品自体は平成17年度の文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門審査委員会推薦作品に選ばれています

歌うなら?

本人の感情は本人しか表すことができないように
hydeの感情を表したこの曲はhyde自身しか表現できないのでは?とも思えます

ラルクは独特な溜めとファルセット、チェストボイスを用いるため
それが早い曲ならまだしもこの曲のようにゆったりと聴かせるということになると至難

この高尚な曲をどう表すかというと、これはもう自分の叙情的な部分を出して歌うほかありません
シンガー各々の感情に身をゆだね、それが吉と出るか凶と出るかはリスナーの感想を聞くまでわかりません

サビはのどを開いた聴きごたえのある歌いかたとファルセットを用い、自分なりの世界観で試してみましょう
これだけ壮大なPVとはいえ、一人の人間の心情であるなら、それを広げるには必要なのは経験と想像力です

人の心情とはいえ、壮大なスケールを描いたスローバラード
聴いていないひとは是非PVと合わせて聴いてみてください

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BUMP OF CHICKEN 『ギルド』 仕事とは?社会とは?自分の現状を考える曲

ギルド

2004年8月25日にリリースされたBUMP OF CHICKENのアルバム「ユグドラシル」収録曲
ミディアムテンポで他国感の強い世界観のあるこの曲、好きな方も多いのではないでしょうか

コンセプトとしては社会人として勤める「仕事」についてを描いた曲であり
タイトルの「ギルド」も中世ヨーロッパにおける同業者組合を意味しています

「人間という仕事」という、あたかも人間でなかった者の目線から仕事についてを綴っているように見えますが
その仕事自体がよからぬものであり、それをさも「人並み」のように思わせる「仕事」とは、結局自分たちにとってどういう価値があるのか
仕事が持つイメージの断定はしておらず、どっちともとれるような歌詞ですが、おそらく答えは出ているものと思われます

バックサウンドとしては炭鉱で働いているような金属音が流れており
あまり日本を思わせない感じがタイトルからも想像できます

BUMPはこういったファンタジー色の強いものをよく歌いますが
仕事に関する一種の叙情はよく働く日本人をモチーフとしているのでは
少なくも日本で歌う曲ならば日本人が共感を得られるようにすることが前提となりますが

ジャケットは人形のであり、2006年9月には映像作品「人形劇ギルド」もリリースされています


オススメは歌詞

学生の最中バイトをしている者ならまだしも、無邪気に遊ぶ子供にはあまり共感が得られにくいでしょうが
BUMPがあまり狙わない層である大人だったり、実際に働いている人からすれば現状を再認識させるきっかけになるかもしれません

とはいえ決して仕事自体にいちゃもんをつけるわけではなく、本当にそれが自分の目指していたものなのか
イエスならばそれでよく、少しでも疑問に思った人に対してこの曲は聴かれるべきなのでしょう

「汚れちゃったのはどっちだ 世界か自分の方か」
世界とは自分を取り巻く社会、そこで仕事をする自分に問題があるのか
それとも仕事というシステム自体に問題があるのか

「それがすべて 気が狂うほどまともな日常」
そういった仕事の繰り返しに疑問を抱いても、自分にとってはそれが日常であり
日常という普通なイメージの言葉が実はそれ自体おかしかったという矛盾を表しています

ただ世界にまともなものは実はなく、じゃあ何がまともなのかというと
自分がしたいと思うことが、道徳性を保持しつつ達成できる社会であったり、自分の人生であり
それがどんなに突拍子がなくても、それが自分の望み=まっとう(まとも)なものであるという意味なのでしょう

「人間という仕事をクビになって」という、一見否定的なイメージの言葉を使用していますが
それが実は本人にとっては否定したいことではなく、むしろ肯定すべき場面にとれなくもありません

それが能動的な辞職なら進むべき道は決まっているといっていいでしょうが
受動的な辞職、つまり本当にクビになった場合は、それが望んでいたことなのに、人はそれを悲しむ
やりたくない仕事なのに、いざクビになると稼ぎが途絶え、つらくなる
そんな感情少しずつ刷り込まれていくことが気が狂っていると揶揄される程の日常と化しているのでしょう

なにがいいのか、なにが悪いのかはともかく、自分が今ある立場が本当に求めていたものなのか
それを「仕事」を題材としてこの歌詞が載せられているのでしょう


歌うなら?

この曲は決して100%前向きであったり、100%後ろ向きであったりというハッキリとした曲ではありません

仕事に翻弄された結果、どちらがいいのか判断がつかないが、各々の解釈で判断はしてもらいたいという
一種の決断された迷いのようなものを感じさせる曲であります

故に悲しすぎず、楽しすぎない微妙な感情の歌い方が必要であるため
多少元気さを抑えた感じで歌うのが相応しいといえます

いくつか問いかけのような歌詞が多く、それを歌い手の経験に載せて歌えば、実は十人十色な曲に仕上がる可能性もあります
歌い手が今まで経た経験が実をこの曲に載せると多用な考えが現れると思われます

あまり高音な場面はありませんし、Aメロも基本的に低め故、歌いづらいということはないでしょう
問題は歌詞の深さといろいろな解釈をどうするか、それこそ考えすぎず自分の思う決断や迷いを載せればよいかと

自分の現状や社会について考えさせられるこの曲
決して否定的にならず、自分の今後も踏まえて客観的に考えるきっかけになればよいと思います

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スピッツ 『遥か』 人の心を揺さぶる幻想的な曲

遥か

2001年5月16日にリリースされた、スピッツの23枚目のシングル曲
幻想的な演奏が人の感覚に歌えるようなミディアムバラードです

この曲が持つ特長的なイメージは人の心を惹き寄せるなんらかの力があるようであり
特にスピッツの曲の中では好きという人が多いです

自分が密かに目指している遠い遠い「遥か」
そこに順調に届いている気がしたけど、実は届いていない

いつか到達したい人の心理と、それでも簡単には届かない現実との葛藤を円やかに描いたファンタジー色の強い印象があります

ドラマ「Love Story」の主題歌

オススメはPV

このPVは主人公の女性がスピッツのメンバーと段階を踏むごとに物々交換を行っていく一種のわらしべ長者のような感じであり
最初に与えられたりんごからどんどん交換を重ねていきます

ランプ、鳥とかご、時計、馬という感じに、それぞれが表す意味は定かではありませんが
時計との交換時、女性の方から自主的に交換を差し迫る場面が見える点から、女性が望んでいたものが手に入りつつあることがうかがえます

しかし最後の馬との交換は受動的であり、更に馬はいつの間にかいなくなってしまいます

そして最後にまた現れたりんごと隣の家内にいるスピッツメンバー
騙されたはらいせなのか、りんごを家の窓に向かって投げる女性、そしてまた吸い込まれるようにして消えるりんご

最後の場面は最初にりんごが手に入ったシーンがまた見え、ループしていくようです

自分が求めて手に入ったものは結局届かない遠い「遥か」なものであるというメッセージがあるのでしょうか

特に最初にどこからともなく落ちてきたりんごは、昔から神話などでよく登場する神秘的な果実であり
そういった点もこの曲の幻想的な部分を助長させます

このPVを自身で見てもらい、いろいろな思いに馳せてもらうことをオススメします

歌うなら?

Vo草野の透き通るような、心の内の芯まで届くような声があってこの曲は成り立つようなものですが
それをイメージして、力まず、頭の中心から声が抜けていくような感じがこの曲には適しています

しかしサビはある程度高音であり、力まずにその声を出すのは至難
決して濁った声にならず、ミドルボイスでも裏声でもいいのでこの曲のイメージを壊さないようにしたいものです

幻想的で人の心を震わすようなこの曲
それぞれこの曲が持つメッセージ性を読み取り感慨にふけっていたいです

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スピッツ 『渚』 寄せては返す神秘的な曲

渚

1996年9月9日にリリースされたスピッツの14枚目のシングル曲
透き通るような、それでいて何かが混ざり合った神秘的な曲です

渚とは砂浜から波打ち際までの箇所のことであり
陸とも海とも言い難い微妙に入り混じった場所を表すような曲をコンセプトにしたとのこと

1番と2番で曲の雰囲気が異なり
1番は静かな波打ちを想像させる演奏、2番目はそれが力強くなる演奏が楽しめます
2番目からベースと、特にドラムの特徴的なリズムとりが波を連想させます

江崎グリコ「ポッキー坂恋物語」のCMソング


オススメは雰囲気、ドラム

弾むようでいて広々としたシーケンス音とエレキ音から始まり、その後まるで渚が視界に広がるような印象があります
その後はある程度一貫して感じた印象を崩すことなく曲を聴くことができます

展開としは大きな緩急はないですが、徐々に増す力強さと渚のボヤけがとれていくような情景の連想ができるのでは
曲の最後のサビ終わりには波が静まっていく、もしくは渚の風景が遠ざかっていく様子が物寂しくもあります

そしてこの曲の特長的な点がドラム
前述しましたが、規則的なドラムは定期的に寄せては返す波の様
それが力強さを増すと、1番で見せていた渚の静かな顔が一転して動的なものとなります

Vo.草野の透き通る声はまさにこの曲とマッチし、曲の雰囲気を一層よいものにします


歌うなら?

この曲の大事な点は雰囲気
渚の情景を思い浮かばせ、壊さないようにしなければなりません

1番は渚を遠くから見るように、2番では渚に近づき、共に距離が縮まる波が曲に介入してくような感じがあります
歌を聴かすというよりも、曲全体の雰囲気を聴かす方が吉であり、歌はその一部のような働きを担っているかもしれません

高音は難しいかもしれませんが、特にAメロなどでは本当に囁くような、軽くブレスを入れた歌唱法が吉
1番より2番を全体的にはっきりと歌うと、この曲のメリハリの部分が表せます

渚の情景を自分の体験と重ね、どういった思いがそこにあったのか連想すると、歌いやすくなるでしょう

綺麗でいて力強さも垣間見えるこの曲
雑踏のないすがすがしい気持ちで聴きたいですね

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嵐 『truth』  怪しさと危機感を募らせるダークシリアスソング

嵐 truth

2008年8月20日にリリースされた嵐の23枚目のシングル
怪しくも感情を露わにしたようなアップテンポでダークな感じが漂う曲です

両A面として同CDに収録されている『風の向こうへ』を光とするとこちらは闇
「謎・悲しみ・憎悪」といったテーマはある意味人間の隠れた人間らしさを表しているようにも思えます

そのコンセプトの通りオーケストラをバックとした演奏には何かしら闇の危なさといったものが感じられ
そこから逃避するかのようなサウンドと、それでも魅了される相反する気持ちが入り交ざるようであり

それこそが人間の性、いわゆる真実=truthなのかもしれません

ドラマ『魔王』の主題歌でもあり、同ドラマは嵐のリーダー大野が主演を務めています

2008年の年間オリコンチャート1位でもあります


危機感を募らせる演奏とサビのメロディが印象的

バストラムのロールから始まるオーケストラをバックとした危機感をも思わせる独特の演奏
バイオリンのスタッカートやピアノのオクターブ奏法にも聞こえる音の交わりは何か焦りを感じさせます

それでも聴き入ってしまうその世界観は同アーティストの『MONSTER』のようなダークファンタジー色は感じられず
いわば本当の闇で起こるパニックまではいかずともハプニングものを彷彿させます

サビのハイテンポな熱唱もそれはクールに、もの哀しさも覚える程であり
それがサビの最後の静かな終わりにより裏付けさせますが、一転してテンポは戻るためその余韻に浸っているヒマはないとの訴えを起こしているようにもとれます

ミステリアスな中にも人が持って当たり前の心の闇の部分を熱い氷で表現したような曲調です


歌うなら?

Bメロ及びサビがボチボチ難解なメロディであり、アップダウンが激しいため音程は外さずしっかりとっていきたいところ
サビは少し高めですが近年の無茶なキーをとる曲と比べるとそこまで高くはないため、とにかく音程を外してイメージが崩れるということは避けたいです

特にサビの入りである「悲しみ~」は直前が低音であるだけにかなり引き立つので絶対に外したくない場面です

サビの最後の裏声はあれだけアップテンポながら落とすところは落とすというメリハリをつけるのにふさわしく
少しのパートですがかなり速度を落とししんみりさせたいですね

Bメロはコーラスも入りますが、この曲の闇と悲しさの表現を引き立てる部分なためできれば他の人に歌ってもらいたいですが
「潜む」を犠牲にすれば一人で歌えなくもないのでそこら辺は臨機応変に

闇・悲しみに焦り・危機感を加えたようなこの曲
独特な世界観を是非堪能してみてください


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Mr.Children 『REM』 激しくもミステリアスなロックナンバー

rem

2013年5月29日にリリースされたMr.Childrenの5枚目の配信限定シングル曲
ぶっ飛ぶようなロック調にミステリアスな感じが織り交ざった曲となっています

シングル曲といえばある程度の万人受けが見込まれることを前提として書かれますが
この曲はミスチルの中でもまた異彩を放ち、ニシヘヒガシヘやフェイクなどとはまた違った雰囲気を漂わせます

多くの人が受け入れやすいメロディというものは存在しますが歌唱部分だけ見てみるとAメロは爆発的に奇妙な感じがし
この調子で突っ走っていくのかと思いきや、逆にサビでは盛り下げ、違う視点で曲を見せてくれます

イントロから短調性は垣間見れるので、これはまたいい意味で変な方向へ行くのでは、と予測されるのではないかと

東宝映画「リアル〜完全なる首長竜の日〜」の主題歌であり
最新医療技術センシングで潜在意識と意思疎通を交わすミステリアスな部分とマッチした曲といえます

この曲のスピーディーでぶっ飛んだ感じは同映画のプロデューサーの意向によるものであり
人の潜在意識は現実離れしていることを表すための注文だったのではないでしょうか


オススメは大サビ

この曲、人の好き嫌いはありそうですが、個人的にこういった偏屈な曲は好きであるため、多少意見が食い違う可能性もあるかもしれません

とはいえ、曲の構成自体はよく、A・Bメロで盛り上げ、サビで静かに、それを繰り返し大サビでド派手に持っていくという感じであり
最後まで聞けばこのミステリアスかつ激しいロックナンバーに心奪われることも少なくないのでは

敢えて序盤のサビを静かにするのは同バンドの曲「HERO」でもありましたが
ここまでサビとそれ以外の緩急の差が激しいものは初めてであり、逆にA・Bメロをメインとしているかの様

敢えて他を引き立てるサビも相まって、最後の大サビはやはりその分強調され、最高速度での疾走感を味わうことができます


歌うなら?

歌う、というよりうまく叫ぶ方がこの曲には適しているといえ
上手に歌おう、音程をとろうという考えは実は正しくないのかもしれません

常に続くシャウトボイスはその世界観を表すために必要ですが
もしカラオケという密室で歌うとなると、ただ叫ぶとやかましいストレス発散の曲になりかねません

潜在意識を表すかのうよな暴走気味の曲とはいえ、曲は曲
聴き手がいるためそれを踏まえた歌唱がいるとなると、気を遣ったシャウトボイスはなかなか難儀

敢えてしっかり音程をとって歌い、この曲の雰囲気をまた違うものにするのもアリです
ただ、恥ずかしい気持ちだけは是非とも抑えていただきたい

深層心理を呼び覚ますかのような激しい曲
通常とは違った世界観に浸りたいとき、今を吹っ飛ばしたい気分などには聴くことをオススメします

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Base Ball Bear 『神々Looks You』 世界観ある歌詞が注目の曲

神々LOOKS YOU

元気になれる度:★★★
ミステリアス度:★★

2009年4月15日にリリースされたBase Ball Bearの9枚目のシングル曲
ホ長調から繰り出されるキャッチーなメロディに、誰もがグッときそうなコードが織り込まれています

神様と対比すると普通な僕達人間でも、素晴らしいと自分で思える人生になればいいという
いいものと比べて劣りそうでもそれは自分たち次第であるというニュアンスがこの曲から醸し出されています

またキャッチーなメロディとはいえコードが各所で変動的であり、そこがこの曲を聴き飽きせない魅力のひとつであるといえます
特にBメロ~サビにそれが織り込まれており、よくありそうなメロディでも何故か繰り返し聴いてしまいます

松竹映画「鴨川ホルモー」の主題歌であり
鬼や式神を使って争うホルモーという競技をメインとして繰り広げられる作品にマッチした内容といえます

ちなみにタイトルを「Looks」と単数形にしたのは言葉の調子を考えたことと
神々を「神様それぞれ」(each other)という風に捉えたため


オススメは歌詞

「神様」と主題とし、それに見合った単語を随所に散りばめつつもメッセージ性を残しており
こういった言葉のセレクトは個人的に大好きです

また神及びそういった空想上の者は他国を問わずこの歌詞に登場しており

魑魅魍魎…山河に属する怪
暗黒時代…トロイア戦争後のギリシアの停滞期
唯我独尊…釈迦が誕生した際に発したとされる言葉
三千世界…世界が1000の3乗、つまり10億の世界が集まってできた空間であるという仏教用語

他にも十字架、エイメン、蜘蛛の糸など神や空想の話を連想させるワードが多く
こういった言葉選びはその曲の世界観を表し、聴く人の一種の探求心を煽ります

ただ言葉選びによる世界観の創出もいきすぎるとそこから現実味あるメッセージソングに戻しづらくなるため
世界観を広げっぱなしでそこで何かを感じ取ってもらうか
はたまた一度世界観を抑え込み伝えたいことを舞台上に持っていくか、その手法が問われます

ここではサビに乗じて「神様になったらどうする?」と本人及びリスナーへの問いかけがあり
他メロで空想に浸らせていざ自分の状況や場合を考えると今はどういった人生か、果たしてあるべき人生観とは?
そういったことを短いサビでで集約させています

サビ以外にそういったメッセージがないわけではないですが、世界を広げていざ自分の場合はどうなのか?といった本題は
サビに行われているのが顕著だといえなくもありません

本人としては決して神に及ばなくとも、自分が素晴らしいと思えるならなんでもいい
まさに「様々」な人生があるということをメッセージに乗せているといえます


歌うなら?

絶妙な世界観を纏う歌詞が用意されている中でどういった歌い方がふさわしいのか
それも「様々」であると言ってしまえばこんな場を設ける必要もありませんが

少し絶大さを感じさせながらもやはり自分の人生は自分と関係ないわけではない
だからそこに目をやりつつも自由性を感じさせるある程度客観性のある歌い方がふさわしいかと

それを出すには、歌い方に余裕があり、歌詞もある程度しっかり発音することを推奨します
余裕が見えるようにするには、ある程度リズムより遅れた歌い方、ミディアムテンポですがゆったりとした歌い方をした方が
歌うというよりは語る、といった雰囲気になって相手への問いかけをしているような感じになります

歌詞を伸ばすところが多いため、そういったところも有効活用してこの曲らしさを出すのも秘訣です

「神様になったらどうする?」
そんな幻想に浸りつつも、この曲の世界観を味わっていたいです

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山下智久 『愛、テキサス』 静かでクールな孤高の曲

愛、テキサス

2012年2月29日にリリースされた山下智久の5枚目のシングル曲
クールさを持つ曲調の中にどこか孤高な雰囲気を漂わせます

印象的なギターリフから始まり、まさにウェスタンな世界観と一人旅の憧れ、哀愁を持ち合わせた感じが第一にあり
その後曲調のメリハリを持たせつつも最小限の音でその雰囲気が味わえます

PVは山Pが白黒の荒廃した町や標識、車内などで一人旅を演じている様
間奏にあるセリフ中のバー内を除くバックグラウンドはややもの哀しさを覚えるもハッキリしすぎる山Pと合わせてみるとやや違和感がありますが

こういった世界観の曲を維持し続ける曲は最近あまり触れることがなく
曲としての構成を第一に考えるというよりは、その部分を最低限守りつつもあとは世界観重視でそれに浸れる感じがいいです

作詞作曲はそれぞれバンド「相対性理論」のティカ・α(やくしまるえつこ)と永井聖一
同バンドが得意とするリフによる曲の印象付けが、この曲でも如何なく発揮されていると言えます

ドラマ『最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜』の主題歌であり
曲のタイトルは映画『パリ、テキサス』のオマージュです


オススメは雰囲気

とにかくクールな格好よさがり、それこそ五月蠅さやシャウトとは無縁の静けさにうっとりするような世界観がいいです

その世界観は独特な歌詞の言葉選びからも味わうことができ
マズル(銃口)やディアブロ(悪魔)のような少しキザっぽさと語呂のよさは巧妙といえます

また歌詞に描かれている主人公はどういった状況なのか
何かいたたまれない状況にいるようにも捉えられるが、その悩みや闇が彼の背景にどう蠢いているのか
それを仄めかすような記述の曖昧性が想像力を刺激します


歌うなら?

曲の雰囲気を味わいながら、自分が物語の主人公になったつもりで歌うのもいいですが
一種の独りよがりさが出てしまうと聴く側としては少し鬱陶しさを覚える一面も

適度に曲調を出しながら、周囲がこの雰囲気になじめているか顔色とを窺う気遣いもいるかもしれません
それくらいこの曲は歌い手の存在の良しあしが出てしまいます

この曲の歌詞は歌い手にとっては違和感ない発音ですんなり進めることができます
また韻の踏んだサビなどは面白みが味わえ、サウンドとシンクロしたような気持ちになります

間奏のセリフ部分は少し恥ずかしいですが、曲を選んだ以上雰囲気を出して言いたいところです

男の孤高と哀愁を醸し出したこの曲
そういった感情に浸りたい場合にオススメといえます


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